お問い合わせ

#しつけと教育

本を読もうとしない息子

私は本好きの少女でした。自営業の主人は今も読書家です。読書は人を作ると聞きます

が、1人息子は3年生なっても、学校から帰ってくるとテレビやゲームばかりで、本には見向きもしません。作文も苦手です。子どもの本箱には3年生ぐらいの子が読みそうな本を何冊も入れてあるのですが、このままでは本嫌いの人間になってしまうのではと心配しています。(小3男子の母親)


現在は小学生でも多くの情報媒体に接します。とくにはインターネットにつながったスマートフォンには注意が必要です。テレビもゲームも1時間未満であるとよいでしょう。それも家族と一緒の居室であるとよいでしょう。ゲームについては、今からだいぶ以前に、脳科学者であり医療少年院にも勤務していた岡田尊司氏が、その著作『脳内汚染』(20005年 文芸春秋)において、その毒性を指摘していました。ネットについては学年が上がり、中学生、高校生となっていく途上にて「依存症」にはしたくないものです。

東北大学教授である脳科学者の川島隆太氏は、スマホと学力の関連を他の因子とも関連させた調査研究をしています。仙台市の教育委員会と協定を結び、同市の公立の小・中・高校に通う児童生徒約7万人全員に毎年行っている試験の成績のデータを持って、8年間ずっとそれを追いかけ続けています。「1時間以上しっかり読書する習慣を持っている子で、とりあえず宿題をやる習慣を持っている子で、6時間以上寝ている子は、みんな平均点を軽く超えてきます。」ということが、川島隆太氏のチームが調査から分析した一つの結論です。

お子さんの読書については、「子どもの本箱には3年生ぐらいの子が読みそうな本を…」というよりも、絵本でもマンガでも活字中心の本でも、本人が読みたいという本を用意してあげるとよいでしょう。このところの4年生、5年生、6年生男子に人気なのが「科学漫画サバイバルシリーズ」です。「学習漫画 日本の歴史」もずっと読み継がれています。読んでいて、さらに詳しく知りたいことをスマホにて調べるというのはおすすめです。

お子さんの前で、ご両親が読書している姿を見せるとよいでしょう。「サバイバルシリーズ」のうち、『AIのサバイバル』、『宇宙のサバイバル』などは、おとなでも興味が持てます。お子さんに表紙が見えるようにして読んでみるのを、試してください。家の中で、10分でも15分でも、お子さんといっしょに読書できるようになるとよいと思います。

小学生でも、中学生でも、高校生でも大切なのは、体感を伴う多くの体験をしていくことです。多くの体験をし、多くの人と交流することが人を成長させます。私は、大学にて「読書と豊かな人間性」という科目の講義をしています。しかしながら、学生にも多くの体験を積むようにと具体的に話しています。

米谷茂則(明治大学講師、放送大学客員教授)