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#しつけと教育

雲梯が下手な子

娘が、お友だちは「うんてい」がじょうずなのに、私はすぐに落ちちゃうのと言って、悲しそうです。どうしたらいいですか。(5歳女子の母)


幼児期に身に着けたい動きとして、台に登る、降りる、転がる、回る、跳ねる、よける、掘る、引っ張る…ということがあげられます。このような運動は、遊びを通して身についていきます。公園の遊具は子どもたちにとって、とても魅力的ですが、そこで遊ぶことを通して基本的な動作が身についていくことが期待できるのです。

雲梯にぶら下がって渡っていくためには、「手で物をつかむこと」そして「ぶら下がること」が基本的な動きになります。はじめから雲梯にぶら下がり、体を振って渡っていくことを目指すのではなく、まずは「ぶら下がること自体の面白さ」に十分浸らせるといいです。ぶら下がれるようになったら、「長い時間落ちないようにぶら下がってみよう」というような挑戦課題をつくっていくのもいいですね。お母さんが数を数えてあげたり、一緒にぶらさがって競争してみたり…。何度もやっていくと、お子さんは慣れてきますし、手で棒をつかむ力、ぶら下がる力、もついていきます。そうなると、体を振ったりゆすったり、片手でぶら下がってみたりするようなことにもチャレンジしていくようになるはずです。

本来、子どもは遊びの天才です。できるようになると自ら工夫するようになります。もし自分からそうならない場合は、お母さんが「やってごらん!」とお子さんの世界を広げてあげてみてもいいのです。そして、お子さんの挑戦をほめ、ちょっとした工夫を称え、一緒に喜んだりすることで、自らもっともっと挑戦するようになるはずです。やがて身のこなしが巧みになっていき、雲梯を渡っていくことも上手にできるようになるはずです。

雲梯や鉄棒などの遊具で遊ぶ場合、すぐに完成形を目指すのではなく、「この場所でどんな面白いことができるかな?」という発想でお子さんの遊びをみつめ、主体的な遊び手になるように支えていくといいと思います。

鈴木 聡(東京学芸大学教授・こども支援士)