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#しつけと教育

親子教室で友だちについていけない子ども

2歳10か月の息子は、4月から週2回の親子教室に通っています。そこでみんなと手遊び歌やお遊戯したりするのですが、息子はほとんどできません。また、絵本の読み聞かせもしてくれるのですが、みんなと一緒に聞けず、どこかへ行ってしまいます。家では何度も読んで読んでとせがむほど、絵本が好きなのですが。

ことばは、何とか3語文ぐらいはしゃべれるし、「長い、短い、上、下、前、後ろ、多い、少ない、三角、四角」、色の名前はわかります。こちらの指示も大抵わかります。服や靴は、何とか自分で着たり,はいたりします。あと、ひも通しなどは、20個ぐらい連続で出来るし、30ピースも一人で集中してできます。散歩なども手をつながなくともついてきてくれるので、多動ではないと思います。数は数えられません。病院などに相談したほうがいいでしょうか。(2歳児の母親)


子どもの初期発達は「直線的」ではなくて「らせん形」で進むとは、発達心理学者たちの言葉です。

つまり、何ができて何ができないか、発達の姿は凸凹で、今日できていたことが急にできなくなったり、ふつうより進んでいたことが一向に伸びなかったり、逆に今までできなかったことが、急にできるようになったりすることを、らせん形で進むと表現するのでしょう。子どもの発達の姿は一様ではないという言い方もあります。

お手紙を拝見すると、お子さんはまだ2歳10か月なのに家ではずいぶん色々なことがおできになるのですね。親子教室ではそれができないことを気にしておいでのようですが、外ではいろいろ気をとられることも多く、家ではお母さんのそばで、のびのびと安心して「自分を発揮」できるのでしょう。もう少し時間がたてば、家でも外でも同じように課題をこなすことが出来るようになると思います。

それよりも気になることは、まだ3歳にもならない子どもを、親子教室に連れていく。のびのびとお友だちと遊ばせるためなら、それもいいのですが、お友だちと比べて、これはできる、これはできないと、いわば観察者の目でお子さんを見ておいでのご様子です。お母さんは、家に帰ってからできないところを「指導」されているのではないでしょうか。親子教室もご家庭も、お子さんにとってかわいそうな環境ではないでしょうか。

お友だちの中に置けば、どうしても比較の目で見てしまいます。思い切って親子教室をやめてしまわれてはどうですか。幼い子どもにとって必要なのは、競争のある環境ではなく、安全で安心な環境です。それが後になって「いい発達」をもたらすと思います。

それでもご心配なら、もう何か月かすれば、保健所の「3歳児健康診査」があるでしょう。その時に、医師や保健婦さん、心理師の先生がみて下さると思います。

深谷和子(東京学芸大学名誉教授・こども支援士)