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#しつけと教育

かわいいとうぬぼれる子

2年生と1年生、4歳の子の母親です。一番目の子は、親から言うのもヘンですが、とてもかわいい顔立ちをしています。とくに小さい頃はそうでした。初孫ということもあって、同居していた祖母を始め、みなから「かわいい、かわいい」と可愛がられて育ちました。ところがいつの間にか、「ぼく可愛いでしょう」とよその方に向かって言うようになりました。確かにかわいい顔立ちをしているのですが、そう言われると、皆さんびっくりしてしまわれるようです。家中でかわいいと言い過ぎたと反省し、最近は言わないようにしているのですが、親戚の者になどはしょっちゅういうので、困っています。 (小2男子の母親)


「かわいい、かわいい」と周囲から可愛がられて育ったお子さんは幸せですね。人と関わるのが大好きな子になって、ものおじしないで、どなたにも、あいさつがわりに「ぼくかわいいでしょう」と、自分から声をかけているのでしょうね。

お兄ちゃんが、あいさつのつもりで「ぼく可愛いいでしょう」というと、相手は一瞬驚くけれど、そう言われてみれば本当にかわいい子なので、思わずにっこりして「そうだね、かわいいね」と言われるので、お兄ちゃんはそれが嬉しいのですね。それで、次に会った人にも、「こんにちは」の代わりに「ぼくかわいいでしょ」と繰り返すのでしょう。それに「かわいいね、かわいいね」と言っておられる方々も、顔立ちだけではなく、そのお子さんがまるごとかわいくて、お子さんに「かわいいね」と返事をされているのではないでしょうか。

それに、「うぬぼれている」なんていう嫌なコトバを使うお母さんのほうを、私は感心しませんけど。

にこっと笑うあなたも、夢中で遊ぶあなたも、勉強をがんばるあなたも、弟たちに優しくしているあなたも、そして、いたずらをしてちょっぴり叱られてしまうあなたも「大好き」だからそう言ってきたこと。そして、あなたがいるとお母さんやおばあちゃんたちは元気になるから、「大切に守ってあげたい」と思って言ってきたこと。「かわいい」に込めていた、ご家族の思いを、いつかゆっくりお話した上で、「もう2年生になったんだから、『ぼくかわいいでしょう』と人に言ったらおかしいよね」とお兄ちゃんに言ってあげましょう。

そのうちお兄ちゃんも、相手にもっと適切な「こんにちは」が言えるようになるでしょう。時間が成長を助けます。当分は息子さんの言うことを軽く受け流して、お母さんご自身が内心で、かわいい子だなと思っておいでなら、それでいいことではないでしょうか。

佐々木教子(東京都北区立浮間小学校教諭・こども支援士)