お問い合わせ

#キッズ&ヤング

オペラとミュージカルの違いを教えてください

先日、学校鑑賞会でモーツアルトのオペラ『魔笛』を観ました。演じている皆さんの声に感動しました。オペラは初めてでしたが、私は、よく『劇団四季』観に行きます。オペラとミュージカルがどのように違いがあるのか、はっきりわかりません。教えて下さい。(えみ@音楽好きの女子高生)


まず、簡単な違いから。

@オペラは「せりふ」も歌のように作曲されている音楽形式であるのに対してミュージカルは、「音楽」「歌」「せりふ」「ダンス」結合させた演劇形式です。オペラの歌い手は、歌って演じることに全精力使って表現する音楽家であるのに対し、ミュージカルは、演劇役者が「せりふ」「ダンス」「タップ」までこなさなければなりません。

Aオペラの歌い方は、クラシックの歌と同じ発声ですが、ミュージカルの発声は、ポピュラーソングのように、裏声だけでなく、地声も使います。歌のジャンルも、ポップス、ジャズ、ロックなど幅が広いのです

Bオペラの歌い手や、声楽家は、マイクを使いません。どんな広い劇場でも、小さい声から大きい声まで、劇場に響かせるテクニックを必要とされています。ミュージカルは、役者で声楽家ではないので、マイクを使います。

B、次に、オペラ、ミュージカルの歴史を少しお話します。

オペラとは、イタリア語で「仕事」「作品」を意味します。はじまりは16世紀、ギリシャ悲劇を題材に作られました。今日残る最古のオペラ作品は、1600年に初演された「エウリディーチェ」と言われています。えみさんが観た「魔笛」は、モーツアルト(1756〜1791)が、1791年9月初演。その年の12月に36歳でモーツアルトは亡くなっています。それから、ベルディー、ワーグナー、シュトラウス、プッチーニなどたくさんの作曲家が、オペラを発表していくのです。オペラの歴史は長く、そして今も続いています。

ミュージカルは、1800年代のオペレッタ(せりふと踊りのある喜歌劇)から発展しました。ミュージカルの本場は、ロンドンや、アメリカのブロードウェイです。最初のミュージカルは、『ショーボート』です。そして『ウエストサイドストーリー』『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』『キャッツ』等、皆さんがご存知の作品が次々と発表されました。

このようにオペラとミュージカルの違いはありますが、現在、日本で上演されている『レント』は、プッチーニ作曲のオペラ『ラ・ボエーム』を原案にしていますし、『ミス・サイゴン』は、やはり、プッチーニのオペラ『蝶々夫人』が原案です。

この二つの比較だけでなく、音楽の種類はいろいろありますが、みな音楽でつながっています。どうぞこれからも境界線を引かずに、たくさんの音楽と出会って下さいね。

榎本太麻子(ソプラノ歌手:二期会)