お問い合わせ

#キッズ&ヤング

スイミングクラブをやめるかどうか、悩んでます

ずっと水泳を習ってましたが、小6の頃からやめたいと思うようになりました。でも、親に言い出せませんでした。中学に入って勉強も難しくなり、スイミングのコーチも変わり、ついていけなくなりました。12月になって、どうしてもやめたくて、母に言いましたが、理由を聞かれてもはっきり言えず、母は怒りました。私は泣きました。母はめそめそするなと言い、そんな毎日が続いた後、母は3つの案を出しました。でも3)は母の怒り顔を思うと言い出せませんでした。

1)週2回を1回にして、級を全部取るまで迄やる

2)水連の級をとる

3)やめる

でも、スイミングの級も水連の級も、もう少しだけれど、全然取れないんです。この状態がずっとつづくと思うと、たまりません。母が云うように、中途半端で終わるのはいやですが、「もう疲れた」と思う気持ちの方が大きいのです。母は「一人っ子のあなたは、闘争心がない」と何度も言うのです。母の言うのもわかるけれど、疲れた、楽になりたい、たまには死にたいと思うこともあるのです。どうしたらいいでしょうか。(中1:あさみ)


「死にたい」なんて、ぜったいに言わないでね。

親の言いなりになっていた「いい子」も、成長するにつれて、どこかで親と決べつ(けつべつ)しなければなりません。今のあなたは、その時期を迎えているのだと、私は思います。

いい子だった子が、親に反旗(はんき)をひるがえす時、たいていの親は怒り、うろたえて、または失望するでしょう。それを言い出す子どもも辛いでしょうが、親の気持ちはそれ以上に辛いと思います。

私の例をお話ししていいですか。子どもの時は絵が大好きでした。5年生の時、絵を習わせてほしいと親にお願いしました。将来は「絵描きさん」になりたいと思っていました。近くの絵描きさんの家に習いに行くことになりました。半年くらいして、デッサンから水彩に進みました。

美術の秋が来ました。先生は上野の「日展」(にってん)に私を連れて行ってくださいました。会場に入ると、壁に、額縁(がくぶち)に入った絵、絵、また絵。それでやる気を出す子もいるでしょうが、私は子ども心に分かったのです。私は絵が好きだし、クラスでも絵がうまいと言われている。でも、展覧会には、こんなに立派な絵を描く人々が出品している。自分はとうてい、これらの人に負けない絵を描く人にはなれないだろうと。

翌週から絵を習いに行くことをやめました。親は「和子は何をやっても、飽きっぽいんだから」と怒りましたが、私は何と叱られても、行きませんでした。そして、気が付いたら私は大学の心理学科に入るために勉強していました。そして、心理学者の端っこになりました。5年生の時に、絵を習うのをやめたのは、正解だったのだと思っています。

子どもが「習い事」をやめたいと言い出すことは、珍しくはありません。大抵の親は「一度決めたことを途中で放り出すなんて」と叱ります。あなたのお母さまのようにね。でも、自分の人生をどうするかは、あなた自身が決めることなのです。中1ともなれば、その判断は正しいのではと私は思います。いま水泳を続けて、オリンピック選手になれるぐらい上達する可能性があるなら、その努力も意味があるかもしれませんが、13歳のあなたは、ほかにも様々な可能性をもっていると思います。

親が何と云おうと、叱ろうと、親はあなたをスイミングクラブまで引きずって行くことはできないでしょう。一時的にせよ、親との関係が壊れる(こわれる)ことを恐れずに、断固として、スイミングに行かなければいいだけの話です。そして、すぐにはムリでも、何年かかかっても、水泳に代る「あなたの道」を見つける努力をしてください。そのうち親もいつか「あの時のわが子の判断は正しかったのだ」と思う日が来るのではないでしょうか。

あなたにいま必要なのは、親と戦う勇気だと思います。

深谷和子(東京学芸大学:名)