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#キッズ&ヤング

親から愛がないねと言われました

中1女子です。今お祖母ちゃんが入院しています。今のところは肺炎ですが、親はもうなおらないだろうと言っています。付き添いは両親で、私もちょくちょくお見舞いにいっていますが、どうしてあげたらいいのかよくわかりません。1年位前までは、いっしょに住んでいなかったので、あまり話したことがないのです。親にどうしたらいいかわからないと言ったら、「愛がないね」と言われました。愛って何でしょう。どうしたら出てくるのですか。 (中1 ひろみ)


「愛」については、昔から多くの人たちが様々な考えを言ってきたけれど、私の中には、ひろみちゃんにお答えできるほどのものがないのです。ごめんなさいね。

ただ、ひとつ言えること。ひろみちゃんは、お祖母ちゃんに愛がないのではなくて、愛の伝え方が分からないだけなのではと。

その人のことを大事に思って、その人の喜ぶようにしてあげる。それが愛の一つのかたちかなと思います。お祖母ちゃんは病院で、みんなから手厚いお世話をされていると思うけど、あなたにできることは、お祖母ちゃんの昔のお話を聞いてあげることかな。

まだお話ができるお祖母ちゃんなら、そばにいて、いろいろお話を聞いてあげてね。子どもの頃のこと、何をして遊んでいたか、どこに住んでいて、学校では何が得意だったのか、親からどんなことで叱られたか、おじいちゃんとどうして結婚したのか、お仕事をしていたことがあったのか、などなど。「それなら簡単、面白そうだ」と、あなたは思うかもしれないけど、でも、そうじゃないのよ。

お祖母ちゃんには、過去の思い出がたくさん入った宝の箱をもっているの。

でもそれを誰かに話そうとすると、「古いわね」「また同じことを言ってる」「こないだも聞いたわよ」とか言われてしまう。それで、だんだん黙ってしまう。大抵のお年寄りが無口なのは、そのせいでしょう。でも、ベッドの上で自由な時間を沢山持っているお祖母ちゃんに、宝の箱を開けてもらって、いっぱいお話を聞いてあげましょう。

でも、それはそう簡単なことではないのよ。つまらなくても、古くても、昨日も聞いたことでも、一生懸命聞いてあげる。やってみるとなかなか難しいことに気がつくと思うの。面白い話ならだれもが一生懸命聞いてくれるけど、退屈な(こちらには関心のない)話も何十分も心を込めて聞く。それは「傾聴」(けいちょう)と言って、カウンセラーになろうとする人が、まず勉強(訓練)するほど難しいことなの。

古い考え方でも、しょっちゅう同じことの繰り返しでも、心を込めて聞いてあげること。

それがお祖母ちゃんへの「愛」のかたちなのではないかと私は思うけど。

深谷和子(東京学芸大学:名)