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#キッズ&ヤング

家では本当の自分が出せるけど

高1のおとなしめの女の子です。
 お祖母ちゃんと、お父さん、お母さん、お兄ちゃんの5人家族です。私は外に出ると固まってしまって、本当の自分がだせません。学校は嫌いではなくて、友だちも何人かいます。でもその友だちの間でも、本当の自分が出せないので、辛いです。どうすれば、本当の自分を出せるようになりますか。(ふみか)


ふみかさんは、自分の中でどの部分をお友だちやほかの人に出したいのかな。

「本当の自分」は、一つではなくて、実はいろいろあると思うんだけど、ふみかさんの言う「本当の自分」とは、ふみかさんの気持ち(感情)のことじゃないのかな。

みんなの中で、自分の感じていること、こうしたいと思っていること、嫌だと思っていること、辛いことなどを、率直に出せたらいいなと。多分いつもはそれを抑えて、言わないように、出さないように、人に気づかれないようにしてるんじゃないのかな。

でもね、家で、家族の中で、「本当の自分」が出せている感じがするのは、家族の人たちが、少しガマンをしてくれているからなんじゃないかな。ふみかさんが何を言っても「まだ子どもだから、しかたがないか」みたいに。それが家族のあたたかさなのね。

でも、お父さんやお母さんやお祖母ちゃんも、家族の中でも、ふみかさんほどには自分を出していないんじゃないのかな。大人たちが、そうした幼い者、弱い者をいたわるのが、家族という集団のよさだけど、家族の中には、時折、自分を抑えていてくれる人たちもいると思うんだけど。

ふみかさんは学校やお友だちの間では、「本当の自分」が出せないというけれど、それって、とってと偉い(えらい)ことなのだと、私は思います。赤ちゃんは自分の思うままに、せい一杯自分を出して、泣いたり、あくびしたり、ウンチしたりしているでしょ。それは人間として、未熟なせいなのね。ふみかさんは社会生活をちゃんと知っていて、自分を出さないようにしているのね。

そして、自分のどこを抑えて、どこを出したらいいか、だんだん上手になって、抑えるのも開くのも、自然にできるようになる。そうなったら、辛いなんて思わずに自然体でいられるようになると思うけど。

「本当の自己・偽りの自己」という考え方を深めた心理学者もいて、例えばウイニコットというイギリスの医師で精神分析学者がそうなんだけど、この人の理論はとっても難しくて、ふみかちゃんが大学に入って心理学コースをとったら習うかもしれないけれど、今はまだお預けね。

 ふみかさんがこれから心理学に関心を持ってくれたら嬉しいけれど。

深谷和子(東京学芸大学:名)