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#キッズ&ヤング

じゅくに行きたくない

前はじゅくに行くのが好きでしたが、じゅくのテストでカンニングしたのを見つかって先生にしかられてから、もう、じゅくに行きたくありません。でもお母さんは、行けとうるさいです。どうしたらいいでしょうか。(小5:ひろや)


こんなじゅくがあります。そのじゅくにはテストもないし、プリントもない、宿題もありません。週に何回行ってもいいし、行かなくてもいい、何時間いてもいいし、すぐに帰ってもいい。クラス分けもないし、先生は生徒が聞きに来るまで教えることはありません。それぞれ自分にあった勉強をして、勝手に帰っていきます。でも、ふしぎにこのじゅくに行く子は伸びるのです。ひろや君は行ってみたいですか。

なぜ、前はじゅくに行くのが好きだったのでしょう。きっとテストで良い点がとれたり、学校の勉強も良く分かったりしたからではないでしょうか。カンニングしたのも、そのせいかもしれませんね。見つかってしかられたのは、ひろや君にとって、大きな失敗に思えるのでしょう。だから、いやになった。ひろや君にとって、じゅくはテストで良い点をとるところであり、自分がほめられるところだったのではないでしょうか。

それは、まちがいではありません。だれだって良い点がとりたいし、しかられるよりほめられたいものです。ひろや君の気持ちはよく分かります。でもね、じゅくは本当は勉強するところなのです。勉強ではいつも正解ばかりできるわけじゃない。まちがうこともあれば、100点がとれないこともあります。まちがうからこそ、正解に気づきます。それに気づくことこそ、本当の勉強です。カンニングだって、同じ。

ひろや君、今回のことはとってもいいチャンスです。本当の勉強を見つけてみませんか。自分が楽しくなれそうな勉強を、さがしてみませんか。そうしたらお母さんの声ではなく、自分の声が聞こえると思います。

カンニング。ひろや君はまちがえたのです。子どもの間には時々起ることですから、先生もそれほど気にされていないと思います。でも、まちがえたままでは、本当の勉強になりません。だから胸をはって、じゅくに行けば良いのです。大丈夫。今のひろや君は前のひろや君ではありません。教えてもらいに行くひろや君ではなく、勉強をさがしに行くひろや君だからです。あなたはきっとそこで勉強のおもしろさに気づき、すてきな発見をすることになるだろうと思います。

何を見つけたか、また教えてくださいね。

坂東克則(元神戸市立山田小学校校長)