お問い合わせ

#キッズ&ヤング

悪筆な女の子です

 自分で云うのもへんですが、字が汚いので親からも先生からも、よく注意されます。母の字はとてもきれいだし、父もくせはあるけれど整った字を書きます。もっとていねいにゆっくり書きなさいと言われるけれど、ゆっくり書いても曲がったような字なのです。それに字など、ていねいに書いているひまはありません。親からは「生まれつきの悪筆ね。お祖父さんに似たのかしら」などと言われます。どうしたらいいですか。(高1:ゆり)


自分の文字について考えることはよいことですね。でも字が汚いと注意されて、いい気持ちはしませんね。ゆっくり書いても曲がったような字になるとのことですが、親御さんが言われるように、やっているのにうまくいかないとやりがいもないことでしょう。
しかし、「なくて七癖」とか、「くせも個性のうち」と言います。悔しい気持ちをバネにして、基本を学んで個性を生かした文字になるように練習することをお勧めします。

丁寧な手書き文字で、自分の気持ちを伝えたら、相手はどのように思うでしょうか。あなたのことをよく知らない人でも一目おかれることでしょう。メールやラインのやり取りではかなわない面ですね。

小中学校で毛筆を習う目的の一つとしては、点画を理解して丁寧に表現するということがあります。これは毛筆・硬筆共通で理解することになります。なかには毛筆は上手なのに、鉛筆やボールペンなどの硬筆になるとうまく書けない人がいます。
それは筆記具の持ち方が違っていたり、指の屈伸がうまくいかず、思った所に線が引けなかったりしています。姿勢が悪く文字が傾いたりする場合もあります。親指と人差し指の屈伸具合や、手の位置、力のいれ具合などを確認してもらい、直すことが上達の早道です。ペンの持ち方を矯正する器具も役立つかもしれません。

できれば、時間を作ってよい指導者についてアドバイスをいただくのが一番です。自分で気づかないことを教えてくれます。文字の形の取り方一つでも、コツがあるものです。毛筆にしても、硬筆にしても、先生の書くところ、添削されるところを見て観察することも大切です。

独習となると、いい手本を注意深く見て丁寧に習ってみることをおすすめします。テキストは、小中学校の書写の教科書が、癖もなく洗練されています。神田神保町の三省堂では常時販売しています。日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字を混ぜて使います。まずは日常頻繁に使うひらがなカタカナを先に習得するのが、早いかもしれません。
一方、ユーキャンなどの通信教育のテキストもなかなか優れています。癖がない書きぶりで、特に説明が丁寧でポイントがわかりやすいので、参考になります。習いに行く時間がない方にはよいと思います。添削指導をこまめに受けることで励みになることでしょう。

 「文字は人なり」とも言われます。美しい文字を書けることで得をすることも多いことでしょう。いざというときにしっかりした文字を書けるといいですね。ちょっと辛抱して頑張ってみてください。あなたらしい手書きの文字が、生涯の宝物の一つになるに違いありません。なお、文字の書き方が遺伝するということはまったくありませんのでご心配なく。

赤藤和仁(東京成徳大学高等学校教諭 こども支援士)