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#キッズ&ヤング

友だちにジュースを買ってあげてしかられた

私にはなかよしの友だちがいます。あやちゃんです。あやちゃんの家ではお母さんがおしごとでいそがしいので、あそぶ時はいつもわたしの家にきます。ときどきけんかもするけれど、おもちゃやシールをたくさんあげて、すぐになかなおりできます。 でもこのまえ、公えんであそんでいるときにジュースをあやちゃんにかってあげたら、お母さんにしかられました。わたしのおさいふからお金を出したのに、どうしてしかられたのかよくわかりません。おしえてください。(小2:みずき)


みずきちゃんは、とてもやさしい心の持ち主(もちぬし)だね。だって、あやちゃんのことをいつも気にかけているから。でも今回は、そのやさしさがお母さんには分かってもらえなくて、残念(ざんねん)な気もちになっているんだね。

「なかよし」は、お金で買うことはできません。きっと、お母さんは、そのことをみずきちゃんに伝え(つたえ)たかったのではないかと思います。どんなに仲良し(なかよし)でも、みずきちゃんやあやちゃんのように、ときどきけんかはします。「けんかするほどなかがいい」という言葉もあるくらいだから。そして「なか直り」する時に、いつもおもちゃやシールをたくさんあげるのは、きっとあやちゃんの機嫌(きげん)がすぐに直るからだね。

でも、自分の心によく聞いてみてほしいんだけど、物をあげてなかなおりできた時に、本当に、みずきちゃんの気もちはスッキリしましたか? きっと少し、どこか、もやもやが残っていたと思います。あやちゃんは、おもちゃやシールをもらえて、よろこんでいたかもしれないけれど、みずきちゃんの心は、もやもやのまま。これは、本当の「なか直り」とは言えませんね。

 お母さんが叱(しか)ったのは、みずきちゃんの心がスッキリしていないことを知っていたからでしょう。「なかよし」はお金で買うことはできないし、物をあげたりおごったりして出来(でき)るものでもありません。

お母さんは、みずきちゃんとあやちゃんが、ずっとずっと、いい友だちでいられるように、「物」でつながる関係(かんけい)から、「心」でつながる関係になってほしいと願(ねが)っているんじゃないかな。

谷本久典(雙葉小学校教諭)