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#キッズ&ヤング

学校に行きたくない

ぼくにはお父さんがいません。お母さんはいつも仕事でいません。最近学校に行ってもおもしろくなくて、休むことが増えてきました。家でゲームをしている時は楽しいです。お母さんは心配して学校に行きなさいって言うけれど、学校に行かなければならないのでしょうか?(小6:つとむい)


「ピンポーン!」ってインターフォンが鳴ると、ドキッとしちゃうね。ひとりで家にいるって、なんかこわいし、おもしろくないよね。たしかに「ゲーム」は、君のやりたいとおりに動いてくれるおもちゃだから、楽しいよ。でも、このまま学校を休んでいてイイのかなと、とっても心配なんだね。ひとりでどうしていいかわからなくって、とっても困っているつとむ君。もう少しお話し聞いてもらえるかな。

近所の家に、今年もツバメがやってきました。遠いところから飛んできたんでしょうね。「巣」のなかでお母さんツバメはしっかりと卵を産んで、それを温めます。お父さんツバメは、敵がこないか「巣」を守ってます。2週間くらいしたら、「巣」に5羽の「ヒナ」が口をあけているのが見えました。親鳥たちはいそがしそうに飛び回り、何回もエサを「ヒナ」の口にいれています。私はいつも、「いっぱい食べて、早く飛べるようになってね」って、願っています。なんとなく、幸せな気持ちになれるんです。

突然ツバメのお話しをしたので、何でだろうって思ったかもしれないけど、今、君は3つの「巣」に守られているってことを、お話ししたいからなんだ。

一つは、「家」。お母さんが、お父さんの分も一人でがんばってるね。仕事が忙しく家にいないことが多いようだけど、「さびしい」って気持ちを、素直(すなお)にお話してみたらどうだろう。お母さんが、もっと心配しちゃうから、言わない方がイイって思うかな。でも、甘えることも大切だってこと、忘れないでね。

もう一つは、「学校」なんだ。「おもしろくない」って、行きたくなくなっちゃてるみたいだけど、中学校まで君の成長を助けてくれる、とっても大切な「巣」なんだ。給食をたべることや運動会や遠足、お友だちとお話しすることなど、勉強だけじゃなくて、大人になったときにこまらないように、「からだ」と「こころ」を育ててくれる場所なんだ。「ゲームが楽しい」って思っているなら、高校から、ゲームを専門(せんもん)に学ぶことだってできるんだよ。

そして三つ目が、「国や社会」。この「巣」には、君だけではなく、お母さんや先生も、お友だちも、みんなが住んでいて、みんなの生活を守っているんだ。お母さんは、もしかしたらこの「巣」に守られているってことに気がついてないかもしれないね。「母子家庭(ぼしかてい)を助けるための制度(せいど)」があるってことを、教えてあげたらどうだろう。少しずつ、お父さんのかわりに、お母さんを支えることができるってことも知ってほしいな。

この3つの「巣」で、大切に守られていることがわかったら、今度は、どんな大人になりたいか、少し考えてみましょう!きっと、「学校に行かなければならない」理由がみつかるんじゃないかな。

ツバメの「ヒナ」のように、大空にむかって飛び出す君を、お母さんも、先生も、そしてわたしも、楽しみにしています。

小澤貴史(拓殖大学准教授・公認心理師)