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#キッズ&ヤング

いつもボッチで寂しいです

地方から東京の大学に来ることに、受験の時から不安でした。予想が的中しちゃいました。学校に来てもお話しする人がまったくいません。正直いって、お昼はトイレの個室で食べてます。誰にもじゃまされず落ち着きます。授業も他人にじゃまされずいまのところは楽しいです。でも、ふと「ひとりボッチ」に気が付くと、家に帰った方がいいかなとか、どっかいなくなっちゃおうかなって思っちゃいます。そして、いっそ大学を辞めた方がいいかなって、真剣に考えてるんですけど、なんとか助けてもらえませんか? (大学2年・女性)


周りを見ると、沢山の友だちとワイワイやってるグループもあるし、いつも同じ友だちと一緒に座っている人もいる。カップルも出来たり。でも大学って、「人は人、自分は自分」って思えるようになるために、入るような場所なんだよ。今は、ひとりぼっちだっていいじゃない。

だって君は「授業が楽しい」と言っている。よかったね。大学は、講義を聞くところ。今のこと、昔のこと、日本のこと、西洋のこと、東洋のこと、一人では勉強できない色々な知識を、沢山の先生から、時間ごとに教えてもらえる場所なんだよ。いまはそれでいいんじゃないかな。とにかく夢中で勉強してごらん。授業で教わったことだけでなく、たくさん本も読んでね。

でも君は、ひとりぼっちの自分に気がついて、大学を辞めてしまおうか、とても迷っているよね。そんな君のために、もう少しだけ、お話しを続けたいんだ。

今、君は、長い「トンネル」の中にいます。最初のうちは、「まずは、大学へ行こう」と、進もうとする方向がはっきりしていたけど、誰もいない、真っ暗で何も見えない「トンネル」にいるので、このまま進んでいいものか、とっても心配になってきました。「さびしい」って、ひざを抱えて座り込んでしまいました。でもここは、雨や風…、ほかの人からじゃまをされることはありません。「これもありかな」と思っていることにも、気づきました。

「いまなら引き返すこともできるけど、どうしよう?」。いろいろ考えると、立ち上がることができなくなりました。「助けて」って、「トンネル」の中でいくら叫んでも、こだまするだけで、自分だけにしかひびきません。じっとがまんさえしていれば、いつか誰かが助けにきてくれるかな。もう、自分ではどうすることもできません。

ちょっとまって、少しだけまわりを見てみよう。「非常口の誘導灯」に気がつきましたか? さあ、走って外へ出て、大学の学生相談室や信頼できる人のところへ行ってみよう。「助けて」って、そっとつぶやいてみるのです。きっと、そのつぶやきは、みんなに大きくひびきわたり、君のさみしい、苦しい気持ちがとどくはずです。勇気をもって「助けて」って言えば、助けてくれる人がいるってこと。そして、この「非常口」を使ったことは、「トンネル」から逃げ出すためだけではありません。「ひとりぼっち」と、お別れするための「自分探しの入口」に、つながっていることも忘れないでください。

こんどは、大学という場所で、どんな人と出会い、どんな経験がしたいのか、もっと真剣に考えてから、誘導灯が示している新しい「入口」から入るようにしましょうね。そして、大学での学びをとおして、本当の自分に出会えることを願っています。

小澤貴史(拓殖大学准教授・公認心理師)