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#キッズ&ヤング

家族の世話で疲れています

うちは母と私、小学2年の妹、5才の弟の4人家族です。母は、うつ病で医者にもかかっていて、朝はたいてい起きることができません。妹と弟には、私が朝ごはんを作って食べさせます。妹を送り出してから、あわてて自分の用意をして、弟を保育園に送ったあと登校します。ぎりぎりで教室に飛び込みますが、遅刻になることも多いです。母が調子の悪い時は、夕方も休んでいるので、夕ご飯を作ったり、妹の宿題をみたり、弟の遊び相手をしたり忙しいです。夕ご飯を食べてからは、弟が遊ぼうと言って聞かないので、寝てくれるまで宿題ができません。勉強もあまりついていけません。以前は、部活もしていましたが、無理だと思ってやめました。母は「ごめんね」といつも言ってくれます。

私が家族を支えなければいけないという気持ちでがんばっていますが、このごろ疲れてきました。進路もどうしようかなと悩んでいます。(中2:じゅん)


すごい。じゅんさんのがんばり、生き方そのものに感心します。妹、弟のめんどうをみて、家事のほとんどを担っているのですね。まさに、あなたが、家を支えているのです。そのことに、大きなほこりを持ってください。

でも、じゅんさんがこれ以上むりをつづけると、心も体もぽきっと折れてしまうかもしれません。かといって、今のところお母さんにはあまり助けてもらえないのですね。お母さんはきっと、なんとかしなければと思っても、体が動かないのでしょう。「うつ病」は病気なので、心がけでどうにかなるものではありません。

じゅんさんは、そのことをよく知っているので、今までむりしてがんばってきたのでしょう。本当はお母さんが、だれかに助けを求めなければならないのですが、病気で判断力がにぶっていると、そうした行動も起こせないのだと思います。

あなたが、だれかに助けを求めてください。

まず、身近な学校の先生に言うのがいいと思います。担任や養護の先生、カウンセラーの先生に相談してみましょう。人に助けをもとめるのは、決してはずかしいことではありません。困難な人生を、たくましく生き抜くための大事な「力」なのです。

たぶん先生は、学校だけではなく、行政(役所)にも働きかけて、あなたを支援する態勢をつくってくださるでしょう。教育委員会、役所の福祉課、児童相談所などとも関係してきます。そして、その中心となって動くのが、「スクールソーシャルワーカー」と呼ばれる人です。あなたのような子どもの家庭環境の問題を解決するための専門職です。

でも、すぐにうまくいくとは限りません。相談を受けた先生が、問題意識を持って訴え、学校全体も共通理解して、行政が重大性を認識してきちんと行動しなければいけません。どこかでそのつながりが切れれば、スクールソーシャルワーカーに届かない場合があるのです。

だれか一人に相談してうまくいかなくても、決してあきらめずに、ちがう先生(親しい先生や校長先生など)や、しんせきの人に相談してみましょう。児童相談所の相談電話(189)やチャイルドライン(0120-99-7777)などの相談電話もあります。

実は、あなたのように、家族の介護や育児を担っている子どものことを「ヤングケアラー」と呼びます。十分な勉強ができず、進路も閉ざされていることが、最近やっと問題とされてきました。ですから、まだまだそのような人を支える制度が十分ではないのです。子どもたちが声を上げれば、必ず良くなっていきます。

あなた自身と家族を守るためにも、全国にいる「ヤングケアラー」の道をひらくためにも、知恵と勇気を出してください。

―「たすけて!」は、生き抜くための合言葉 ―

上島博(小学校非常勤講師・こども支援士)