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#キッズ&ヤング

勉強が嫌いなので就職したいです

ぼくは勉強が好きではありません。成績も2か3です。義務教育だから、中学は卒業しなければならないので、学校に行ってます。卒業したら、就職したいと思ってます。でも何の仕事をしたいかは、まだ決まってません。親は、どこでもいいから、高校まで行った方がいいと言います。どうしたらいいですか。(中2:ふみと)


ふみと君が、中学3年生できちんと「就職したい」という進路を考えているのは、すごいことです。多くの中学生が「なんとなく高校に行って」というぐらいにしか思っていないでしょう。実は私も昔、そうでした。

でも、少し長くなるけど、私の話を聞いてくれるかな。

私は、ふみと君の考えは、ほとんど正しいと思います。

小学校、中学校の義務教育をきっちり終えた後は、その人が就職か進学かを選べばいいのです。就職先については、未成年ですから親の意見を参考にすることが必要ですが、でも、最終的には、あなたの希望が一番の決め手でしょう。そのためには、自分がどんな仕事をしたいのかを、もう少しじっくり考えたほうがいいと思います。労働者を悪い条件で働かせる「ブラック企業」(と呼ばれる会社)も、世の中にはたくさんあるので、中学校の先生ともよく相談してくださいね。

中学校卒業だけで就職できるところは、世の中にたくさんあります。でも、パソコンの表計算などができるとか、きちんとあいさつができるとか、「人として生活したり、仕事をしたりしていくのに必要な能力」を求められる会社が多いことも、知っておいてください。卒業までには、まだ少し時間があるようですから、就職のために必要な技能(能力)は何かを調べて、少しでも身に付けておくようにしましょうね。

また、中学卒業で就職できるところはありますが、高校卒業と比べると求人数は少ないし、選べる職種も限られてきます。また、「正社員」として働いている中学卒業生は少ないのが現実です。いま、非正規(アルバイトや派遣)の労働者の待遇改善が叫ばれていますが、一生涯に受け取る賃金や、老後(仕事を定年になった後)に必要になってくる「年金」などのことを考えると、正社員として長く勤められる仕事を見つけるのがベストでしょう。

むろん、中卒でも成功している人はたくさんいます。芸能人や芸術家、将棋などのプロなど、有名な人も沢山います。ただ、そうした特別な「才能と幸運」に恵まれる人はごく一部ですし、その人たちは、人の何倍も努力と苦労をしている人がほとんどです。

また、君の両親が「高校に進学したら」と勧めてくれるなら、それは実はとても幸運なことなのですよ。家庭の経済事情や家族の世話のために、高校に進学できない人もたくさんいるのです。

でも「どこでもいいから、高校に」というのは、少し甘い考えのように思います。

勉強がきらいなのに高校に行って中途退学したのでは、何にもなりません。また、高校を卒業したからといって、行きたい会社に就職できるというものでもありません。

では、どうすればいいのでしょう。実は、高校はものすごく多様化していて(種類が分かれていて)、いろいろな進路に対応しています。実業系の高校では、工業、機械、園芸、菓子職人など、様々な仕事に必要な基礎技術を身に付けることができるようになっています。学校の勉強が少し苦手だった人も、手や体全体を動かして物を作ったり、ゲーム感覚でプログラミングをしたりするような勉強もあります。

勉強が好きではないから高校に行かないというのは、進路や夢をせばめる考えでしょう。

あなたは、何が好きですか?何が得意ですか?成績表で示されるのは、人の力のごく一部です。どの人にも、得意や好みが必ずあります。就職するにしても、進学するにしても、自分の気持ちや良さを生かせる進路を考えてくださいね。

上島 博(こども支援士)