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#キッズ&ヤング

公務員志望ですが

私立大学の2年生です。高校時代の成績は中ぐらいで、大学に入って野球部に入りました。でも僕は公務員になりたいのです。1年生の成績は、4段階の2.5ぐらいで、あまりよくありませんでした。野球部員のキャリアは、公務員志望に役に立ちますか。野球部をやめて、勉強をした方がいいでしょうか。バイトも週1の夜にしています。(大2:けんすけ)


子どもはみんな、なりたいものをもっています。長いこと小学生の夢を調べてきたある団体の調査は、表1のようになっています。

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表1 小学生がなりたいもの(日本fp協会調べ 2021)

男子 女子
1位 サッカー選手・監督 1位 医師
2位 野球選手・監督 2位 看護師
3位 医師 3位 保育士
4位 ユーチューバー 4位 イラストレーター
5位 ゲーム制作関連 5位 教師
6位 会社員・事務員 6位 薬剤師
7位 プロゲーマー 7位 美容師
8位 建築士 8位 パティシエ
9位 飼育員 9位 獣医
10位 料理人 10位 会社員・事務員

注:日本FP協会「2021年小学生「将来なりたい職業」ランキング」
    第15回小学生「夢をかなえる」作文コンクール応募作品数(男子1565点、女子1792点、あわせて3357点を集計したもの)
    https://www.jafp.or.jp/personal_finance/yume/syokugyo/(2022年12月16日閲覧)

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でも、子どもの頃の夢とは違って、大学生にとっての夢・進路は違った意味を持ってきます。子どもの頃の夢は、自分のおかれている現実に関係なくもつことができますが、大学生にとっての進路は、現実と理想のバランスの中で成り立つものですね。

大学3年の終わりには、具体的な就職活動がはじまります。そのため、これからの1年がとても大きな意味を持つことになるのですね。

まずは自分自身を見つめてみましょう。

自分の長所や短所を理解することはとても大事なことです。けんすけさんの短所や長所は、公務員に向いているでしょうか?今一度、なぜ公務員を志望しているのか、公務員に必要な資質とは何かを考えてみましょう。就活をがんばる学生さんを見ていると、第一志望の内定をもらうことが目的となっている方が多いようです。しかし、希望通りの職種に就くことはゴールではなく、新たな人生のスタートラインに立ったにすぎません。夢見ていた職種だとしても、自分には向いていない仕事を無理やり続けるには人生は長すぎるのです。

次に、進路と部活の関係を考えてみましょう。野球部のような団体競技の場合、一般企業では高く評価される場合がありますが、公務員の場合はあまり関係がないでしょう。公務員になるための就活、という観点からすれば、野球部をやめた方がいい、ということになります。しかし就活の際に高く評価されなくても、今までがんばってきた部活を続けることにメリットはあります。野球部を続けることに、自分なりに価値を見出せるか、それとも、長いことやってきたから、または、今が、ただ楽しいから、続けているのか、自分と野球部の関係を見直してみましょうか。もし、野球部を続けることに自分なりの価値を見出せるならば、部活が続けられる道を模索し、実行するべきでしょう。

大人になる、ということは、現実を受け入れ、何かに妥協することが必要になってきます。これから先の人生で、物事に優先順位をつけることはとても大切なことです。この場合は「公務員試験」「野球部」「バイト」「睡眠時間」でしょうか。本当に「公務員試験」と「野球部」が必要なら、バイトをやめ、睡眠時間を削ってでも部活と勉強の時間を作ればいい。極端に言えば、大学の授業の中でつまらない授業時間中に、公務員試験の勉強をすることだってできるのです。

自分にとって<最も大切なこと>を軸に考えて、行動してみることにしてはどうですか。

深谷 野亜(松蔭大学教授)