#しつけと教育
「子どものための英語教室」に通わせた方がいいでしょうか
家の近く(車で15分)に「子どものための英語教室」が出来ました。5歳の娘ですが、将来大きく活躍するバイリンガルな人材に育てたいのです。通わせたほうがいいでしょうか。(5歳児の母親)
「早ければ早いほうがよいのでは」と考えて、1歳の時にお子さんを英語教室に入れたお母さんがいました。大学の子育て広場に参加したお母さんでした。
ところが、日本語が出る年齢になっているにもかかわらず、言葉が出ませんでした。子どもの中で日本語と英語の混乱がおこっていたのです。英語教室へ行くのをやめて半年たったころ日本語が出るようになりました。
乳幼児期はまず母語である日本語を豊かにすることが基本です。子ども自身が関心をもった時には英語教室もいいですが、無理に連れて行くと、かえって英語嫌いになってしまいます。バイリンガルと言っても、母語がしっかりとしていないと、どちらの言語も不十分なセミリンガル(ダブルリミティッドという言い方もあります)になってしまいます。
世界で活躍するためには、日本のことをよくわかっていて、日本語が豊かでないと通じません。音声的には、小さければ小さいほど敏感な耳で、外国人の発音に近い音を聞き取れるようになりますから、「早ければ早いほうがよい」とも言われますが、アメリカやイギリスだけで過ごすのであれば別ですが、世界で活躍することを考えると、慌てる必要はありません。むしろ様々な外国語や外国人に出会って、人間が多様であることを体感することの方が大事です。
英語教室で、異文化としての様々な外国人や様々な外国語にふれることは、そうしたものに偏見を持たなくなるという意味ではいいと思います。小さければ小さいほど偏見を持たないで接する事ができるのです。そのこころが、世界に出て行ったときに、グローバルな心として生きると思います。
でも、無理に通わせると英語嫌いになってしまうでしょう。
瀧口 優(白梅短期大学教授)