#しつけと教育
神経質でこわがりの息子
2歳になったばかりの長男(けんじ)は、非常にこわがりで心配しています。
テレビでこわい場面、車の事故の場面など見ると、私のそばにかけよってきます。ふだん家の中でも私のそばを離れず、トイレについてきます。人見知りが強く、知らない人には表情も固くなります。団地の4階ですが、一日2回くらいは外に連れ出しています。のびのびした、人前に出てもおとなしい子にしたいのですが、どうしたらいいですか。(2歳児の母親)
2歳のけんじ君の人知りが強く、「こわがりやさん」なご様子を心配されていて、もう少しのびのびした子どもに育ってほしいと。これに限らず、育てる側の子どもへの願いや希望は、今後も次々と出てくることでしょう。
2歳になると、自分だけでなく周りにも目がいくようになって、見たことや経験したことを通して、さまざまな感情や感性が育っていきます。大切で(育てる側にとっては)子どもの成長ぶりが面白い時期ですね。でもテレビのこわい場面や事故の場面で、お母さんのそばに駈け寄ったり、家の中でも離れなかったりなど。お母さんのほうでは、もっとたくましい子になってほしい、今後ともこのようではと、ご心配なのですね。
けんじ君は、周囲の出来事に対して感じる力が豊かなお子さんではないでしょうか。でも、そうしたこわいことがあった時に「こわい」と感じると、瞬時にお母さんという安全な場所(心理学でいう「安全基地」)に駆け寄るのは、「親子の絆」がしっかりと結ばれていることにつながります。人見知りも、お母さんが誰よりも安心できる存在なので、「その人のそばにいたい」という気持ちからなのでしょう。母親という安全な場所に、不安な時や行きたい時に行けることで、今、けんじ君はしっかりと守られています。でもやがて、自然にお母さんから離れて、自分の力で前に進めるようになるでしょう。
また「こわがり」は、言い換えると「慎重」という言葉にも置き換えられると思います。お子さんは、物事を慎重に考えて取り組んでいくタイプかもしれませんね。じっくり考えてから行動する子どもも素敵です。一日2回も外に連れ出して、自然や社会とのふれあいを大事にされているお母さんの子育ても、いいなと思います。
たくさんの経験や刺激が子どもの成長を助けていきます。ほどなく自分からお母さんの手を離して、未知の世界に飛び込んでいける時がくるはずです。その日まで、お子さんが必要と思われる時にはそばにいて、「大丈夫、大丈夫」と声を掛けながら、惜しみなくスキンシップをとってあげてください。お母さんと一緒にいることで生まれる安心感が、これからもお子さんに豊かな感情や感性を引き出す原動力になっていくことでしょう。
今のままで大丈夫。時には難しいことも起きる「子育て」の日々を楽しんでくださいね。
塚本文子(東京都特別支援巡回相談心理士)