#しつけと教育
欲張りでケチな子
5歳の娘(ひとみ)が欲張りで困っています。1歳上の兄がいますが、何でも兄と同じにしてもらわないと、キイキイ言います。人にものをあげるのも嫌がるし、物を貸すのも何とか理由を付けて反対します。私はおおらかな育て方をしてきたつもりなので、原因が分かりません。考えて見ると、主人や主人のきょうだいは、みなわりとケチなのです。(5歳児の母親)
子どもはみんなよくばりなもの。世界は自分を中心に回っていて、お気に入りのものは全部自分のものにしたいと思っているのではないでしょうか。他人の気持ちを察したり、他人にやさしくできるようになるのは、成長する中で、様々な経験を積みながら少しずつ身についていくように思います。
それに、1歳しか離れていないお兄ちゃんは、親から見ればひとみちゃんの「兄」ですが、5歳の子にとっては、「兄」というより、もう一人の「自分」みたいなもので、一種のライバルかもしれません。キイキイいうのはごく自然なことではないでしょうか。
でも、お手紙にあった「主人や主人のきょうだいは、みなわりとケチなのです」という個所が気になりました。5歳の子がケチというより、日頃ご主人の性格やそのお身内の方にどこか不満(ケチな人たちだ!)があって、その気持ちがお子さんの上にかぶっているのかもしれませんね。
たしかに大人の中には、おおらかで細かいことを言わず気前がいい人と、そうでない人がいますけれど、おおらかで気前のいい人は、案外、見栄っ張りだったり、「ええかっこしぃ」だったりの人かもしれませんね。
性格ができあがっていくプロセスはそれぞれでしょうが、とにかく今は、5歳のひとみちゃんがキイキイいうのを、内心で「困ったものだなぁ」と苦笑しながら、おおらかに見守っていかれることではないでしょうか。
深谷和子(東京学芸大学名誉教授・こども支援士)