#しつけと教育
母親の長い髪に愛着をもつ男の子
4歳の長男についてご相談いたします。母親の私は、ずっと肩の下15cmぐらいのロング・ヘアにしていますが、先日ヘアタイルを変えようかと主人に相談していましたら、長男が「ママ、髪を切らないで」と泣くので、びっくりしてしまいました。そういえば私が髪をとかしていると、「ママ」と言って髪に顔をうずめたり、着替えをしていると、脚にほほをすり寄せたりすることがあるのです。どこか異常なのでしょうか。(4歳児の母親)
4歳の坊やが、ママのロング・ヘアに顔をうずめる。ちょっと性的な感じのしぐさで、ご心配になるのもわかる気がします。
対象は違いますが、幼い子がクマや犬のぬいぐるみを放さなかったり、ベビーベッドでいっしょに寝たりしている情景に出会うことがあります。なんとも子どもらしく、可愛いいしぐさです。赤ちゃんの時からのお気に入りのタオルや枕や毛布があって、それがなければ絶対に寝ない子や、どこへ行くにもその(薄汚れた)タオルを引きずっていく子もいます。おたずねの坊やのしぐさも同じような意味をもっているのでしょう。タオルよりも、ママの温かくてすべすべして、いい匂いのする髪や肌のほうが、ずっと気持ちがいいのではないでしょうか。
この年齢の子どもたちはまだ情緒的に不安定で、自分を支えてくれるものをほしがっています。ふつうはお母さんのそばで、声を聞いたり目でみたり、ときにはだっこしてもらうことで満足しているのですが、ときにはもっと直接お母さんに触れることで、気持ちが落ち着く子もいるのでしょう。髪や脚(の感触)は、いわばお母さんの「代理」というわけですね。
でも成長するにつれて、その癖もだんだん消えていくことでしょう。ロング・ヘアは、もう少しの間、そのままにしておきましょうか。
深谷 和子(東京学芸大学名誉教授・こども支援士)