#しつけと教育
猛烈な教育パパですが
教育ママというコトバはよく聞きますが、主人は教育パパ、しかも度を越した教育パパなのです。5歳の一人娘に、ピアノとバレーと英語を習わせています。つい先日は、8冊で1万8千円もする「こども百科事典」を買ってきて、夫婦げんかになりました。この夏はスイミングスクールにも行かせると言っています。いつも、自分は定時制高校しか出ていないから大きくソンをしていると言っています。その劣等感からだと思いますが、これではこの先が思いやられます。(5歳女児の母親)
だれでも自分の中に「本当はこうしたかった、こう生きたかった」など、見果てぬ夢があるもの。親になって子どもが生まれれば、その思いを少しなりとも子どもの上に果たせそうな気がする。人生を小さくやり直すことも出来そうに思えます。親に与えられた「幸せ」でしょうか。
でも他方で、「親の歴史は、子どもへの失望の歴史」というコトバもあります。子どもの上に、自分にかなわなかった夢をみようとしても、その都度それができないことを知っていく。ご主人が「自分は自分、子どもは子ども」という心境になるには、もう少しの年月が必要かもしれないですね。パパのモーレツな教育パパぶりは、今、どんなに説得しようとしてもおさまるものではなく、もうしばらく見守って差し上げましょうよ。
子どもという生き物は、親の思いとはまた違った、すばらしい成長の姿を見せるもの。
おけいこごとの費用や、まだ読めない高価なこども百科事典を買えるだけの経済的ゆとりのあるお暮らし。よき伴侶に巡り合えて可愛いいお子さんにも恵まれ、お幸せなご家庭を築いておられる。こうした日々があれば、ご主人も、それほどご自分の夢をお子さんの上に追おうとせず、バランスの取れたお暮らしができるようになるのではないでしょうか。
深谷和子(東京学芸大学名誉教授・こども支援士)