お姉ちゃんがえばります

うちのおねえちゃんは、おねえちゃんだと言って、えばります。おねえちゃんは私よりえらいんですか。そんなのへんだよ。　（小１：みどり）

そうだね、本当にへんだよね。

だって、えらい人はぜったいにいばらないもの。おかあさんは、いばってごはんを作ったりしないし、まいごになって道を教えてくれるおまわりさんも、インフルエンザにかからないように予防ちゅうしゃをうってくれるお医者さんも、みんなニコニコしてるよね。えばるのは、えらいからじゃなくて、「自分がえらいって思いたい」からなんだよ。えばってみると、なんとなくえらくなったような気分になるのかもしれないしね。それとも、自分の方が強いんだぞ、力があるんだぞって思わせたいのかな。

ほら、ネコ同士がお互いに毛を逆立てたり、鳥が胸の毛をいっぱいに広げている写真を見たことあるでしょ？　どっちが強いのか、上か下か、決めるためにはひつような行動（こうどう）なんだね。

時々えばっちゃうおねえちゃんも、それがヘンだって感じるあなたも、人間は意識（いしき）しないまま、どちらが強いのか競（きそ）うことがあるんだって気がついたら、私たちも動物みたいで、なんだかおもしろいよね。　えばるのは動物の力くらべと同じなんだね。だから、おねえちゃんは、あなたよりも力が強いんだって言いたかったんだろうな。

ちょっとむずかしかったかな。

でも、どちらが強いのか、なんてことよりも、本当にえらいのは、自分ができることを一生けんめいがんばっている人だと思うけれど、あなたはどう思うかな？

近藤和子（サンメディカル津田沼クリニック・公認心理師）