じぶんだけの部屋がほしい

私は妹といっしょの部屋をつかっています。友だちはじぶんだけの部屋をもっていて、とてもうらやましいです。お母さんにじぶんだけの部屋を作ってほしいといったら、ダメと言われてしまいました。どうしたら、じぶんだけの部屋を作ってもらえますか。（小４：ゆか）

「じぶんだけの部屋」ってなんだかすてきなひびきね。「じぶんのおしろ」なんて言い方をする大人もいるけれど、だれにもじゃまされず、自由にのびのびじぶんを解放（かいほう）できそうな気がするもの。友だちがうらやましくって、ちょっとお母さんにおねだりしたくなっちゃったのもわかるなぁ。

お母さんにダメって言われても、のび太だったらドラえもんに泣きつくのかな？　ドラえもんならゆかちゃんの望みもかなえてあげられそう。ポケットから「もしもボックス」を取り出して、じぶんだけのお部屋がある世界に連れて行ってくれるかもしれないね。たから物や好きな本でいっぱいのお部屋では、何をしてもだれにもじゃまされないし。

でも、ちょっと待って！たしか、もしもの世界では、「じぶんだけのお部屋」があること以外は何も変わらないから、妹はお部屋から追い出されてどこに行っちゃうのかな？「一人でねるのはいやだ」とか、「お姉ちゃんといっしょに遊びたい」ってお母さんをこまらせるかもしれないね。お母さんだって、「勉強したの？」とか「ちゃんとお部屋はきれいにしなさい」ってなんどもお部屋をのぞきにくるだろうし、あまり放って（ほおって）おいてくれそうもないよ。

大きくなるにつれて、だれでも一人の時間や空間（くうかん）がほしくなってくるのは当たり前のことだけれど、じぶんの身の回りのことをじぶんで何でもできるようになることは同じように大切なことだもの。お部屋を持てば、それなりの約束（やくそく）やせきにんが出てくるはず。

どんな約束ができるのか考えて、もう一度お母さんになぜダメなのかを聞いてごらん。きっとお母さんの考えやおうちのじじょうがあると思うな。本当は妹といっしょのお部屋だって、夜はこわくないし楽しそうな気がするけれど、ちゃんとお願いすれば「もう少し大きくなったら考えようね」って言ってくれるのじゃないかしら。

近藤和子（サンメディカルクリニック・公認心理師）