犬を飼って（かって）もらえません

犬が大好きです。犬をほしいのに、ぼくにはお世話がむりだといって、ママがゆるしてくれません。自分でちゃんと面倒（めんどう）見るからといってもだめです。パパは「ママとそうだんしなさい。それに生き物は死ぬからね」というのです。うちには庭もあるのに、どうしたら、犬をかってもらえますか。（小３：しんじ）

犬はかわいいね。いっしょに遊べたらどんなに楽しいかな。

でもママは、お世話（せわ）ができるか心配（しんぱい）してるのね。しんじ君はどんなお世話（せわ）をすればいいのか、知ってるかな？ご飯（はん）は何を食べるのかな？オシッコはどこでするのかな？病気になったらどうしたらいいのかな？予防注射も（よぼうちゅうしゃ）もあるし。お散歩（さんぽ）ってどうしてするんだろう？しんじ君と同じで、ご飯（はん）をたべたりウンチもします。どんなお世話（せわ）をすればいいのかよくしらべて、ママに教えてあげたらどうかな。しんじ君が“犬博士（いぬはかせ）”になるくらい、くわしくなればママも安心するね。

でもその時に、しんじくんもよく考えてみて。毎日、ご飯（はん）をあげられるかな？トイレがじょうずにできなかったら、お掃除（そうじ）できるかな？毎日、散歩（さんぽ）にいけるかな？犬をかえば、楽しいことやうれしいことも、たくさん、たくさんあるけど、でもかわいいだけではないことも、きっとあるでしょう。

また、お父さんがいわれるように、いつかお別れする時もきます。ずっといっしょにいたいけれど。その時、たいせつな家族（かぞく）がいなくなるのは、どんなにつらいことでしょう。じつは私も、しんじ君と同じ年のころ、犬を飼い（かい）ました。大きな犬だったので、遠くの方までお散歩（さんぽ）に行きました。雨がふると、なぜかこわがって泣くので、かさをさして外でいっしょにぬれたこともありました。でもとうとう13さいで、亡（な）くなくなりました。大すきだったので、とてもショックで、悲しくて、それから犬をかっていません。

お父さんも、もしかしたら悲しい思いをしたことがあるのかもしれないね。お世話（せわ）のことや、いつかお別れする日がくることをよく考えて、それでも飼いたい（かいたい）気持ちがかわらなければ、お父さんとお母さんにもう１度相談（そうだん）してみたらどうかな。

しんじ君のしんけんな気持ちがご両親（りょうしん）につたわるといいね。犬といっしょにすてきな家族（かぞく）の思い出がたくさんできるといいね。

和田奈々子（こども支援士・保育士・放課後児童支援員）