犬が嫌いな男の子

ぼくは1年生です。犬が大の苦手（にがて）です。こんど友だちの家に遊びに行くことになりました。友だちの家には犬がいます。とっても大きな犬なんだって。ぼくはお母さんにお使いをたのまれた時も、犬がいる家の前はよけて、まわっていきます。いつも、その犬にほえられて、こわくなったの。犬をすきになるにはどうしたらいいですか。（小１：けんた）

歩いていて、とつぜん家の庭（にわ）から犬がほえてきたら、心臓（しんぞう）がバクバクするよね。大きな犬が目の前にいたら、わたしだってこわいです。

思い出したの。わたしが小学生のとき、学校に行くとちゅうの家に、大型犬（おおがたけん）がいたの。とっても人になれていて、頭（あたま）をなでてもおとなしかったし、ほえたこともなかったから、かわいいと思っていたんだ。ある朝、頭（あたま）をなでようとしたら、わたしのおしりをガブっとかんだの。きっと何かで、犬もびっくりしたんだよね。そのことが忘れられなくて、それから犬がこわくなって、しばらくは、その家の前を通（とお）れなくなったの。今もそのことを思い出すと、大きな犬がこわいの。けんた君と同じだね。

けんた君は、犬となかよくなりたい、犬と友だちになりたいと思っているんでしょ。けれど、犬が大好きな友だちに「犬がにがて」とは言いにくいよね。でも、思い切ってその友だちに、「ぼくは犬が苦手（にがて）だけど」って言ってみようか。友だちは笑って、「平気、平気」って言うかもしれないけど。あそびに行ったら、その犬にあいさつしてみたらどうかな。犬は、あいてが自分のことを好きかきらいか分かるらしいの。とっても賢い（かしこい）動物なんだって。

そのうち学校の生活科（せいかつか）でも、「もうどう犬」とか、「かいじょ犬」など、人をたすけてくれる犬について、べんきょうすると思うよ。そうしたら、いろいろと犬のことを知る（しる）ことができて、大きな犬をかっている友だちとも、もっともっと、なかよくなれると思うんだ。それと、どこかでかわいい子犬にさわる機会（きかい）があるといいけれど。かわいい犬たちが、けんた君を待っているかもね。でも、ムリしないでね。きっとそのうち、犬をすきになれると思うから。

佐々木教子（東京都北区立浮間小学校・こども支援士）