#キッズ&ヤング
テレビが自由に見られないので、友だちの話題についていけません
わたしの母は9時になると「明日起きられないからもう寝なさい」と言います。でも、9時からおもしろいお笑い番組とかドラマとかが始まります。仲よしの友達は、みんな見ています。次の日に学校で「ねえ、昨日、みた?」「見た、見た!おもしろかったね」と友だちは楽しそうにしゃべっているのに、わたしだけ話題についていけません。ビデオで録画しようとすると、お姉ちゃんに、「そんなにまさみのばっかりとらないでよ」と言われます。このまま見られないのでは、友だちの話題についていけなくてつまらないです。(小6:まさみ)
もうすぐ中学生になるまさみちゃん、たくさんお話ししてくれてありがとう。自分の気持ちをしっかりお話しできていいね。
もう少し、私の話も聞いてくれるかな。
「テレビが見たい」「友だちと楽しくお話ししたい」って、やりたいことがたくさんみつかったね。だけど、自分の思うとおりにならないこともわかったね。一日24時間、世界中の人々が同じ時間の中で生活しています。今、なにをやらなくっちゃならないかを選(えら)ぶことや、やってはいけなことを削(け)ずること、そして「がまん」するってことも、これから先少しずつわかるようになりましょう。
お母さんは「9時に寝なさい!」って言ってくれるね。眠ることは、食べることと
同じように、身体(からだ)や心の成長のために必要(ひつよう)だからなんだ。そして、ぐっすり眠るためには、毎日きまった時間にベットに入ることが大切(たいせつ)なんだ。「寝る子は育つ」って昔からいわれてきたけど、本当だよ。テレビもゲームもなかった時代の子どもは、8時になったら寝るもんだったよ。でもいろいろ面白いことが増えてくると、テレビも見ていい時間を決めないと、自分でやめることができなくなっちゃうんだ。
まさみちゃん、お母さんのしてることや気持ちを考えてみたことがあるかな。お母さんはね、毎日一人で、お食事の用意、お風呂、お掃除……、いろんなことをしてくれてるんだ。たいへんだと思うよ。
そう。気がついたかな。たくさん「がまん」しているのは、お母さんのほうだってこと。そして、君やお姉ちゃんがちゃんとした子に育つようにって、いつも願(ねが)ってるんだ。それがお母さんの「愛情(あいじょう)」だよ。
さあ、それがわかったら「寝なさい!」「起きなさい!」って、教えてくれる『お母さん時計』は、卒業です。自分の成長のために、自分から時間を守りましょうね。
大人のとびらをあけたばかりの、まさみちゃん。いつかお母さんのように素敵な大人になれるといいね。
小澤貴史(拓殖大学准教授・公認心理師)