#キッズ&ヤング
あだ名で呼んではいけないといわれました
今度、ぼくのクラスでは、友だちをあだ名で呼んではいけないことになりました。男子も女子も「○○さん」と言いなさいと、先生に言われました。ぼくはみんなから「タンク」と言われていて、いつもそう言われるのが大好きです。背は小さくて前から5番目位で、ふとっていますが、運動は何でもトクイです。スポーツの時に「それいけ、タンク!」とみんなから声がかかるのがうれしいです。どうしてあだ名で呼んではいけないのですか。(小5:けんた)
小さくて元気一杯、いつもスポーツの時は「花形」(スターのこと)のけんた君。私も出かけて行って、みんなと「タンク、それ行け!」って声援(せいえん)したいなぁ。こちらも元気が出そうだね。
でも、少し、私の話を聞いてくれるかな。
5年生の君のクラスで、男の子は、友だちのことをどう呼ぶの?「鈴木」とか、「山田」とか、「けんた、」か、「ひろし」とか、呼び捨てでしょう。女の子は、下の名前(「みきちゃん」とか「リカちゃん」とか)かな?「さん」を付けるときは、上級生とか、あまり親しくない子とかじゃないのかな。
子どもの時は、お互いにあだ名や愛称(あいしょう)で呼ぶこともあるけど、あだ名で呼ばれてうれしい子もいるし、傷つく子もいるよね。とりわけ、デブとかチビとか、短足とか、からだのことを言われると、だれでも、大人でも、嫌な気持ちになる。ガキとかジジイとかもね。これって、一種のイジメだよね。
だから、担任の先生は困ってたんじゃないかな。人の嫌がるあだなつかう子がいて。
けんた君は、タンクと呼ばれて嬉しいかもしれないけれど、同じあだ名でも、不ゆかいに思う子がいるかもしれない。でも先生は、いちいち「そう呼ばれて嬉しいですか?イヤですか?」って、聞くわけにはいかないので、クラスに「あだ名で呼んではダメ」というルールを作ったのでしょう。「タンク」だけ、特別に使っていいというわけにはいかないよね。
担任の先生の困った気持ちをわかってあげてくれるかな。これからは、リレーのアンカー(最後に走る人)になった時に、「それ行け、けんた」になるかもしれないけど、がまんしようよ。大人はだれもお仕事の場所で、あだ名は使わないよ。君も何年かすれば、大人の仲間入り。「小学生のころはタンクと呼ばれて嬉しかったなぁ」という思い出になるよ、きっと。
小澤貴史(拓殖大学准教授・公認心理師)