#キッズ&ヤング
公園でモンシロチョウをとっていたら、おこられました
ぼくは虫が大好きです。よく虫図鑑(むしずかん)を見たり、テレビで虫の番組を見たりしています。うらの公園には、毎日モンシロチョウや、キアゲハやモンキチョウなど、いろんなチョウがとんでいます。時々それをつかまえて、虫取りかごに入れて観察(かんさつ)して、また、かごからはなしてやって帰(かえ)ります。この間、いつものようにモンシロチョウをとっていたら、犬をつれたおばあさんから「なんてかわいそうなんでしょう。そうやって生き物をつかまえて遊ぶ子どもがいるから、世の中がおかしくなっちゃうのよ」と怒(おこ)られました。虫をつかまえるのは悪いことなのでしょうか。 (小4:りょう)
りょう君のうらの公園に集まってくるたくさんのチョウチョ。トンボもバッタも、カマキリもダンゴムシも来るんじゃないかな。夏にはセミもたくさん鳴いてるでしょ。いいね。
昭和の時代にトンボやチョウチョは、小さい子どもたちの毎日の友だちでした。でもどちらかというと、チョウチョは女の子の友だちで、男の子の友だちは「むぎわらトンボ」や「シオカラトンボ」でした。秋になると赤トンボもやって来たし、空の高いところには、トンボの中でも上等な「ヤンマ」も飛(と)んでたなぁ。
ヤンマって知ってるかな?虫博士のりょう君だから、虫図鑑で見たことがあるかもしれないね。ヤンマは高いとことを飛ぶので、小さい子の赤い網(あみ)ではつかまえられないの。細長い竹竿(たけざお)の先にネバネバしたもの(モチ)を塗(ぬ)って、ひゅうひゅう回して男の子たちが捕(つか)まえてた気がします。技(わざ)が難しいから、5.6年生にならないとムリだったかもしれないけど。
犬をつれたおばあさんが、「なんてかわいそうなんでしょう」と怒ったのは、きっと自分の小さい頃を思い出して、友だち(モンシロチョウ)が捕まえられているように思ったのね。あとで、虫博士のりょう君が、かごから出して逃がしてやるとは思わなくて、つかまえられたチョウチョをかわいそうだと思ったのね。おばあさんの気持ちはわかるけど、「だから世の中がおかしくなっちゃうのよ」とは、ちょっと言い過ぎ。おばあさんは虫のいどころが悪くて(つらいことがたくさんあって)、それで怒っちゃったのかもしれないね。
いまの子どもたちの友だちは何かな。ケータイやゲームかな。それを思うと私も少し悲しくなるの。その公園には、季節(きせつ)によって、いろんな虫たちがやってくるでしょ。じっとしてると、りょう君のそばに来てくれるんじゃないかな。「こんにちは」って、あいさつしてやったらどうかな。
深谷和子(東京学芸大学名誉教授・こども支援士)