#キッズ&ヤング
ゼミでの発表が心配で眠れません
1カ月後に20分間のゼミでの発表があります。私のゼミには、現在8名所属していますが、順番に発表することになっています。準備する時間は1か月ありますが、上手くできるか心配で、近ごろ眠れなくなってきました。みんな上手に発表していて、先生から「よくまとめたね!」って、ほめられたりしています。私にはムリ。このままでは体がおかしくなってしまうのではないかと、悲しくなります。(大学2年・女性)
2年生になって、ゼミが始まったのですね。今までは一斉授業だったから、初めてのゼミは、何やら不安と心配で一杯なのでしょう。
大学が、高校までの教育(授業)と違うのは、小さいグループで、先生のそばに座って、お互いに話したり、調べてきたことを発表したり、自分の意見を出したりできる小さい<ゼミ>があるからなのです。
欧米の大学では、(人文学系の場合)一般教養を除いて大学教育はほとんどがゼミ。ゼミ以外に開講されている講義は、ゼミの準備のためのものです。その代わりゼミの評価はとても厳しくて、沢山の準備が必要。十分な準備が出来ず、発表や課題がうまくいかなければ、即アウト。それに比べれば、日本の大学では、必要な単位は沢山開講されている講義でとれるし、ゼミでとる単位は、ほんのわずかで、卒論につなげる準備のようなもの。ゼミの内容も、燕がヒナを育てるような温かい雰囲気が一般な場なのです。
あなたが取り始めたゼミで、先生が「よくまとめたね!」って言われるのは、「がんばったね。いろいろ準備したのね」という意味で、つっかえても、頭が真っ白になって発表が止まっちゃっても、間違えたことを言ってしまっても大丈夫。ゼミは、いわば自分を成長させるための場所で、何でも恐れずに自分を出せる場所。自分のダメな部分に、先生のフォロウや激励がたくさんあることでしょう。失敗をこわがらないで、2年生の今の自分、弱点一杯の自分を、みんなに見てもらえばいいのです。それがゼミのよさなのですから。
私自身、もうずっと昔のことになりましたが、振り返れば、今ある自分の知識や考え方、生き方までもが、殆ど大学や大学院でのゼミで、先生に言われたことや、友人との討論の中で身に付けたことなのです。ゼミは人を作る場なのですね。
だから、過剰に心配しないで準備してください。4年生になって、卒業論文を仕上げて、卒業式の日が来たら、「あの頃の自分は幼かったなぁ。でも就職も決まって、明日からは一人前の社会人だぞ」って、胸を張って言っていることでしょう。
深谷和子(東京学芸大学名誉教授・こども支援士)