#キッズ&ヤング
お母さんがだいすきなのに、だっこをされたくありません
わたしは、だっこがあまりすきではありません。なんだか、からだがムズムズしてくるの。3さいの弟(だいき)はお母さんにいつもたくさんだっこをしてもらいます。たまにはいいなと思うこともあるけど、わたしはお母さんがだっこをしにくると、にげてしまいます。手をつなぐのはすきなんだけど。お母さんのことはだいすきなのに、だっこされたくないわたしはヘンでしょうか?(小1:くるみ)
くるみちゃんは、いつのまにか赤ちゃんではなくて、少しずつお姉さんになってきてるのね。もう、1年生だもの。赤ちゃんの時みたいに、「だっこが気持ちよくて、しあわせ」じゃなくて、ことばでお母さんに「いい子ね」「かわいいね」といってほしいのに。
でもお母さんは、くるみちゃんが体(からだ)も心も成長(せいちょう)して来たことに、気がついていないのかもしれないね。
どのお母さんも、子どもが小さい時は「だっこ」でじぶんの気持(きもち)ちをつたえます。くるみちゃんぐらいになったら、「だっこ」のかわりに、「いい子ね」とか、「おりこうさんね」などの、ことばのほうがいいのにね。
でも、弟のだいき君はまだ3さい。お母さんは、じぶんの気持ち(きもち)をつたえるのに、たくさん、たくさん、だいき君をだっこしてあげているのね。そばにいるくるみちゃんが、「なんでお母さんは、わたしをだっこしてくれないのかな」と思うかもしれないと、心配(しんぱい)してるのかもしれないね。
子どもは、毎日毎日、大きくなっていくもの。でも親(おや)は、それに気がつかないことも、たくさんあるの。いつかお母さんに「わたしはもう赤ちゃんじゃないから、だっこはやめてね」といってみましょう。そのうちに、だいき君も、お母さんのだっこから逃げるようになるでしょう。
親は、子どもの成長(せいちょう)がうれしいけれど、自分から離れて(はなれて)いくのが、ちょっぴり寂しい(さみしい)と思うものなの。
深谷和子(東京学芸大学名誉教授・こども支援士)