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#キッズ&ヤング

友だちをどうやって作ればいいかわかりません

6年生の女子です。私は長崎から東京に転校してきました。友だちが、「家族の事を話して」というから、いつもしている妹の世話を、「いつもいがもりしとる」とふつうに言ったのに、みんなが笑いました。長崎では、わからない勉強はなかったです。こっちでは、これは習ってないな、勉強してないなと思う内容もたくさんあります。東京は進んでいる感じがしています。それに、私の両親は仲がよくないです。そんな悩みは誰にも言えません。新しいクラスで、友だちになりたいと思う子もいます。(小6:みなみ)                注)「いがもり」は「子もり」


長崎と東京はずいぶん離れてるね。みなみちゃんは長崎にいた時東京の事をどう思っていたかな? 学校では東京は日本の首都で、日本の中心と習っていたよね。

なんか憧れもあったかな。

4年生で、47都道府県を学習し5年生では世界の国を学んで、6年生のみなみちゃんは、世界と日本を学んでいるんだね。

みなみちゃんは、すごい経験をしていると思う。なぜなら、同じ日本で、今までいた長崎と、これから住むことになる東京が、まわりのようす、生活の仕方、食べ物、それに言葉もずいぶんちがうことを頭でなく、体験で学んでいるんだから。

言葉だってこんなに違う。東京に住んでいる人の言葉は標準語(ひょうじゅんご)に近くて、みんなふつうにしゃべってるけど、それぞれの土地には、そこで暮らしてきた人たちがずっと使ってきた言葉、人と人をつないでいる言葉があるのね。「方言」(ほうげん)と呼ばれているけれど。

ラジオやテレビ放送が始まって、どの家でもテレビを見るようになったのは、およそ60年ぐらい前のこと。それまでは、もっともっと方言が使われていたけれど、今はどこの地方も、標準語に近くなっているの。テレビのアナウンサーや出演者が標準語を広めたのね。だから、みなみちゃんが長崎地方の「方言」を話せるのは、すごいことなのかもしれないね。

みなみちゃんも、授業中、先生にさされるときは、標準語でお返事したり、発表したりもしてるでしょ。でも授業じゃない時は、つい「方言」が出てくる時もあるのね。それで、みんなが面白がって笑ったりするのね。バカにしてじゃなくて、聞いたことのない、めずらしいコトバなので。「いつもいがもりしとる」なんて、私も意味が分からなくて、頭をひねったわ。

新しい場所で生活をするのは、大人でもすごく難しいです。なれるのには時間もかかります。

今、みなみちゃんは、新しいところで、お友だちを作りたいと思って悩んでいるんだね。いろんなことが、こんなにも違う生活の中で暮らしてきたみなみちゃんが、勇気を出して、一人でもお友だちができたら、すごい自信になると思う。みなみちゃんの前向きな心を受け止めてくれる友だちは、きっと近くにいます。友だちは文化の違いを知りたくて、こんどはみなみちゃんに、興味をもっていろいろ聞いてくると思うの。先生だって「長崎の事、みんなに話してよ。」とみなみちゃんを頼りにするんじゃない。そうしたら堂々と方言も使えるんじゃないかな。

これからのみなみちゃんの生きる世界は、日本だけでなく、世界が舞台になっていきますね。長崎にいて東京の事を想像してワクワクしたように、こんどは世界のいろいろな国の事を考えてなんか楽しくなるんじゃないかな。日本にいながら、二つの文化を経験しているみなみちゃんが、日本と世界の違いに興味をもって羽ばたいていく! 想像しただけでほんとにワクワクしてしまう。

長崎で、勉強で分からないことがなかったのもすごいです。今までもがんばってきたから、勉強で分からないことがなかったんだね。きっと、東京での勉強にも、すぐに追いついていけること間違いなしです。

家での両親のことについての悩み(なやみ)は、なかなか難しいです。どこの家でも、悩みのない家はないんです。親は親、私は私と思えるようになるといいんだけど、もう少し、時間がかかるかな。今は、今みなみちゃんができることを大切にしてほしいな。

川崎佳子(こども支援士)