#キッズ&ヤング
ヘンって言われて友だちができない
友だちとあそんだりしたいけど、友だちができません。ぼくはふつうにしているつもりなのに、「ヘン」と言われます。学校にも行かなくなりました。いつも家でゲームをしています。ゲームはおもしろいけれど、少しさびしいです。どうしたら友だちができますか?(小3:だいき)
だれだ!そんな言葉(ことば)を言う奴(やつ)は。
相手とうまくいかなかったり、相手が自分にイヤなことをした時に、つい悪口を言ってしまうことは、誰(だれ)にでもあるよね。大人になったら口に出さないで、心の中だけにするけれど、バカとか、あほとか、最低とか、間抜けとか、デブとか、チビとか、ジジイとか。まだまだどんどん出てくるよ。
でも、悪口を言う時にも、「人間として、決して口に出してはいけない悪口」があるんだ。「ヘン」は、その、一番言っちゃいけない悪口なんだ。つい最近も「きもい」と言われて自殺してしまった6年生のことが新聞にのってたでしょ。
ほかの悪口なら、自分に少しは思い当たるところがあって、「そう言われないようにしよう」とか、「しかたがないや」「気にしないことにしよう」などと受け入れるとかが(ちょっと難しいコトバかな)できるけど、でもヘンは、どこがヘンなのか、言われても分からない最低の悪口。きもい、キショイも、そう。
だいき君!そんなことを言う奴らのいる学校になんか行かなくていいよ。家でゲームをしてていいよ。家で本を読んだりドリルでもやっていればいいよ。学校は、子どものために作られた、何より「安全、安心な居場所」のはず。でも、そんな言葉を言う奴がいる場所になんか、行かなくていい。無理していると、心がもっとぐちゃぐちゃになってしまうから。
学校なんて、少し大きくなってからだって、中学や高校からだって行ける場所よ。「途中で、学校へ行かなかった子のための学校」もあるんだよ。
でも君は、やっぱり学校は、行けるなら行った方がいい場所だと、心の中で思ってるかもしれないね。おうちの人は学校に行かない君を心配して、担任や、保健室や教育相談室(きょういくそうだんしつ)の先生に相談してるんじゃないかな。でも君は、おうちの人にも「友だちにヘンって言われて、友だちができないから、学校に行きたくない」とは言ってないよね。君のプライドがそれを許さないよね。
でも先生は「勉強を教える」ことより、学校をまずどの子にも「安全な居場所」にする責任者なんだから、いじめは絶対ゆるしちゃいけないの。
「ヘンって言われて友だちができません。だから家で一日中ゲームをしていました」って、先生に言うのははずかしいかもしれないけれど、「勇気」を出すのよ。「勇気」はこういう時のために、だいき君の中にしまってあったはずなの。ヘンといわれて遊んでもらえないのは、立派な「いじめ」なんだから(リッパっていうのは変だけど)。
それにはまず、おうちの人に「ヘンって言われるから、学校に行きたくない」っていうのが先かもしれない。今までたまっていた涙(なみだ)をぜんぶ出して、大きな声で泣いてね。おうちの人はびっくりして、すぐ学校にとんで行くはずよ。校長先生のところかもしれないね。
がんばれ、だいき君!もう少しのしんぼうよ。
これからは、だんだん、いい友だちや楽しいことがいっぱいのクラスになっていくよ。担任の先生も、校長先生だって、いい学校にするように、全力でがんばってくださると思うから。
深谷和子(東京学芸大学名誉教授・こども支援士)