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#キッズ&ヤング

一生懸命やってるけど成績が悪いです

私は授業に毎時間休むことなく出席して、誰よりも頑張っているつもりですが、成績評価がよくありません。成績評価の平均が4段階で2.5くらいです。高校の時の評定平均が4.2くらいでしたのでこんなに悪い成績をとったことが残念でなりません。親からも「もうちょっとしっかりやらないとね」って言われています。私は一生懸命勉強して、公務員になりたいです。どうしたら成績があがるのでしょうか。(大学2年:陽仁)


「もうちょっとしっかりやらないとね」って、親からの一言は辛いですね。もしかすると君の目標とする「公務員になりたい」というのも、この何気ない一言が影響していませんか。頑張っているのに、思うような成績が得られていないことに気づけたことは大切です。でももうちょっと、その取り組みや解決方法を自分なりに考えることが必要なのではないでしょうか。直接的な回答ではありませんが、もう少し、私の話を聞いてもらえますか。

君は山登りをしたことはありますか?例えば、「富士山」。真冬の澄み切った空気の中、その姿は、多くの人を感動させます。いつか、あの頂きに立ってみようと思う人もたくさんいることでしょう。私は、5合目まで車で行って、周辺を眺めた観光客にすぎませんが、その時ふと気が付きました。その場所からでは、山頂ばかりか、美しかったその山の形も見られないってことです。せっかく時間をかけて憧れの「富士山」に来たのに、残念に思えて仕方ありませんでした。そんな気持ちを感じながら、近所の土手を登ってみると、あっという間にてっぺんに到達します。でも、そこからの眺めは、地上のそれとはまったく異なって見えました。これが、山登りの醍醐味なのかと感じたのです。頂上に立った者でなければ実感できない、プチ達成感を得たような気がしました。

君の勉強も、目標とする山はとても美しく見えているけど、いざ登山を始めてみると、ただ傾斜の強い地面だけしか見えなくなって、この道であっているのかも不安になってきますね。途中で疲れてしまい、時には下山することも考えなくてはなりません。君にとって、成績評価の「2.5」は、大学という山登りで、学修を振り返るための基準になっているのでしょう。きっと、登山路の休憩場所のように、先に進むかどうしようか、誰もが悩む課題なんだと思います。さあどうしましょう?

また、公務員という高い山は、君自身が「富士山」の姿のように憧れた山なのですか?それとも、親が「いい山だよ!登ってみたら」って、言われたから登り始めた山なのでしょうか?もう一度、考えてみてはどうでしょう。そして、本当に登りたい山だと決めたなら、山頂からの眺めを実感することが、これからを生きていく上でとても貴重な体験になると、土手に登った経験者からの提案です。

なぜなら、君には、大学入試という一つの山登りを、優秀な成績で登り切った経験があるからです。このことも忘れないでください。

そして今、頑張っている君へ。「どんな山でもいい」、

君だけが満足できる山頂からの景色をぜひ見て欲しいと願っています!

小澤貴史(拓殖大学准教授・公認心理師)