#キッズ&ヤング
サークルのルールに納得がいきません
私の入っているサークルでは、用事があって休みたいのに、休ませてくれません。どうしても休みたいなら、「先輩のやってる居酒屋でアルバイトしてこい!」って、言われます。同級生は「しょうがないな」って、そこでアルバイトするか、やりくりして休まずにサークル活動をしています。これって、おかしくありませんか。私は納得いきません。(大学1年:瑛二)
入学して、運動系のサークルに入られたのですね。運動系の部には、時に「1年生は新兵で、2年生は上等兵、3年生は下士官で、4年生は将校」のように、時代錯誤的な上下関係が残っていたりします。(と言っても、昔の軍隊制度ですからピンとこないかもしれませんね)しかも、その4年生が全日本レベルの選手だと、納得がいかなくても、抗議をしにくいですね。
でもあなたは、「用事があって休みたい」みたいに、甘いことを言う部員に気合を入れるため、上級生から「居酒屋でバイトしてこい」と言われたような気がしているのかな。でも「納得いきません」だけでなく、1年生同士で話しあってみるのも一つかもしれませんね。上級生も、種々のルール(というより部のしきたり)の説明が足りないのかもしれませんし。
でも、あなたのサークルの場合とちょっと違うかもしれませんが、こんな例もあるのです。
私の知人で、大学でアメフト部の部長をしている人がいます。関東アメフト連盟3部リーグの常連校で、夢は2部リーグ昇格ですが、実態はエリアリーグ落ちが心配というレベルです。でもこのチームにも、地域に熱心なサポーターたちがいるのです。その一人は、大学の近くの焼き肉屋のご主人で、試合となると、店の従業員や知人を動員して応援に駆け付けます。
そのお店には昔から千円で食べ放題という「(アメフト部)学割」があり、多くの部員がお世話になっています。といっても食欲の旺盛な若者たちに、千円の食事では、肉の仕入れ値にもなりません。そこで、部員が交代で、その店でアルバイトをして店を助けています。アメフト部は力持ちですので、重い肉の皿の持ち運びもお手のものですし、(バイトの)若い男性の従業員がいるせいでしょうか。店には女性のお客が多いようです。
また別のエピソードです。私が若い頃講師をしていた大学には陸上部があり、大学近くの定食屋が熱心なサポーターでした。関東学生陸上協議連盟の加盟校で、東京箱根間往復駅伝競走予選会には、毎回参加していましたが、出場記録に名前を留める程度のレベルでした。でも定食屋のご主人は「僕の目の黒いうちに、箱根路を走ってほしい」と、学生が来ると超大盛のキャベツ付き特大カツを揚げていました。講義を終えて店に寄ると、顔見知りの陸上部の選手がバイトしており、「先生も大盛りにしましょうか」と冷やかしに来てくれました。
このように、多少伝統のある大学の運動部には、行きつけの食堂があるのが常識で、あなたの先輩もそうした関係で、あなたにバイトを勧めたのではないでしょうか。ネガティブに解釈しないで、一度お店に顔を出してみてはどうですか。
でも、そうした部の雰囲気や体質がやはりイヤだったら、文科系のサークルだってたくさんあります。別にサークル活動はしなくてもいいし、部をやめればいいだけの話です。もともと大学は勉強(学問)する場所です。2年生になればゼミも始まるし、講義も、一般教養から専門の科目も少しずつ増えていきます。心機一転、勉学に励んで、新しい自分をスタートさせることもあっていいじゃないですか。
深谷和子(東京学芸大学名誉教授・こども支援士)