教室でみんなと同じことをするのがつまらない

がっこうがたのしくないの。みんなと同じことをしなくちゃならないのがいや。すわってると、いらいらするの。きのう、校庭（こうてい）を見たくて、窓にのろうとしたら、先生にしかられた。どうしたらいいの。（小１：あかり）

あかりちゃんとは、音楽の勉強（べんきょう）がいっしょだね。授業（じゅぎょう）の始まりは、いつものオープニングから。あかりちゃんは、静かにすわって、歌集（かしゅう）の中のいろんな歌をさがしているね。みんなの前で、「まねっこリズム遊び」をする順番（じゅんばん）になった時、「先生といっしょにやってみようか」といったら、「うん」と小さく返事をしてくれたね。みんなから拍手（はくしゅ）をもらって、あかりちゃんははずかしそうだったけど、「がんばってよかったね」と私がいったら、少しだけだけど、うれしそうだったね。おへんじしてくれて、先生はうれしかったよ。

この間、あかりちゃんが、お教室（きょうしつ）の入り口ですわっていたので、私が「どうしたの」って聞いたら「教室に入りたくない」って話してくれたね。「どうしてだろうね」って聞いたら「いらいらする」と教えてくれた。お話ししてくれたから、その時のあかりちゃんの気持ちが私にはわかったの。

校庭を見たくて窓にのろうとしたとき、たんにんの先生はあかりちゃんのからだを押さえて、「あぶないからやめなさい」と注意（ちゅうい）したんだね。あかりちゃんは、校庭を見たかったのね。でもね、窓から落ちたら、大けがする。だから先生はとめたんだよ。

自分の気持ちを言葉（ことば）にするのは、とてもだいじなこと。みんなマスクをしているから、あかりちゃんがいらいらしてても、ほかの人によくわからない。だから、自分の気持ちを言葉（ことば）にする練習（れんしゅう）をしなくちゃね。もし、うまく言えずにいたら、ヘルプカード（注）を出してみたらどうかな。先生も近くにいる子も、きっと、わかってくれるよ。あかりちゃんもほっとすると思うよ。それでも、いらいらが消えなくて、大声を出したくなったら、保健室（ほけんしつ）に行って、ひとやすみすることだってできるんだよ。

「にじ」や「南の島のハメハメハ大王」の歌が好きなのを教えてくれたあかりちゃん。

そのうち、自分の気持ちを言葉（ことば）にすることがじょうずになるよ。だいじょうぶ、だいじょうぶ。学校もたのしくなるよ。

（注）ヘルプカード：「心の天気」と題した、嬉しい顔・困った顔からカードにしたもの

佐々木　教子（東京都北区立浮間小学校講師　こども支援士）