ぜんぜん動いてくれないこのチームはいやです

ぼくは、運動するのが好きです。少年ラグビーチームに入っていて、楽しいです。今、学校の体育で、ハンドボールをやっています。でも、ぼくのチームの人は、ぜんぜん動いてくれません。ぼくが、「走って」と言ってものろのろしているし、「パス！」と呼（よ）んでもなかなかボールを投げてくれません。パスしても、ちゃんととれなくて転がっていってしまいます。ぼくが「ちゃんとやって！」と言うと、文句を言ってきます。ぼくは、もうこのチームはいやです。（小３：としや）

としやくんは、運動が得意（とくい）で、ボールを投げたり捕（と）ったりするのも上手。守るときや攻（せ）めるときに、どこに走ったらいいかもだいたい分かっている。ハンドボールをやるのは初めてだけど、体を動かすのが好きで、少年ラグビーのチームに入って練習しているから、としやくんは上手なのね。ボールを投げたり捕ったり走ったりしながらゴールをねらうのは、ラグビーとハンドボールは似（に）ているもの。ゴールを決めたら、「やったあ！」ってうれしくなるから、ハンドボールでもどんどん攻めてゴールを決めたいね。としやくんの気持ち分かるよ。

だけど、チームのお友達はどうかな？ハンドボールをやるのは初めてよね。ボールで遊ぶのにも慣れていないのかもしれない。だから、としやくんのように、上手にボールを投げたり捕ったりすることが、きっと難（むずか）しいのよ。「走って」って言われても、どこに走ったらいいのか分からなくて、困っているのかもしれないよ。

「きたかぜとたいよう」というお話があるでしょう。「きたかぜ」と「たいよう」が旅人の上着をどちらが脱（ぬ）がすことができるかという勝負をするお話。「きたかぜ」は、思いっきり強い風をふくのだけれど、旅人はつらそうな顔をして上着をしっかりおさえるから、脱がすことはできなかった。だけど、「たいよう」がぽかぽか暖（あたた）かくしたら、旅人はえがおで上着を脱いだのよね。

としやくんは、「きたかぜ」と「たいよう」のどっちがいい？

「パスの練習しようよ」ととしやくんがさそって練習してごらん。はじめはうまくいかないから、「ドンマイ！」と言ってみて。何回もやっているうちに、きっと、「ナイス！！」って言えるときがきっと来るよ。「走って」のかわりに、「向こうのゴールの前に走って！」とくわしく言ったら、「あっ、そうか！」と思って、走れるようになっていくと思うよ。としやくんがみんなの「ぽかぽかたいよう」になったら、みんなはえがおになって、チームのみんなでハンドボールを楽しめるようになるんじゃないかな？ラグビーチームでがんばっているとしやくんなら、きっとできると思うよ。ファイト！！

吉田　佳代（つくば市立東小学校教諭・こども支援士）