設立の理念
素直だけれど、活気に乏しい子どもが多くなってきました。堅苦しさが漂うものの学校はそれなりの機能を果たしていますし、欧米と比べると日本の家庭は相対的に安定しています。それにもかかわらず、どうして子どもがひ弱なのでしょうか。子どもは家庭では親、学校では教師と、いつも大人の目に囲まれて成長しています。それだけに聞き分けの良い子が育つ反面、自分の判断で動く経験に乏しい子どもが育っています。
「カエルが鳴くから、カエロ」
「ALWAYS三丁目の夕日」は1950年代末の東京の下町を舞台としています。その頃、夕方の町角は遊び戯れる子どもの声で騒がしかったものです。しかし、現在の夕方の街角から子どもの声は聞こえてきません。その静粛さに、笛吹き男の音に誘われて子どもたちが岩陰に姿を消したハーメルンの町を連想させます。かつての子どもは地域での群れ遊びを通して、友とのつき合い方を覚え、自分らしさを作り、生きる力を身につけていきました。「スタンド・バイ・ミー」(1986年、アメリカ)は少年期特有の仲間意識を描いた名作としての評価が高いですが、現代の子どもにもギャングエイジを持たせたい。子どもの放課後を復権し、子どもの遊び戯れる姿の見られる街角を再生したいという願いを抱きます。
そのために必要なのは子どもを指導することではなく、子どもを背後から支え大人の姿勢だと思います。そうした願いから日本子ども支援学会の設立を考えました。学会といっても、子ども支援という心情で一致した研究者や実践家、そして、子どもの問題に関心を寄せる市民などが集い、童心に戻って語り合える場を作りたいと思っています。詳しくは会則を参照していただきたいと思いますが、多くの学会と同じように、研究大会やワークショップなどの開催も考えています。それと同時に、それぞれの場で子ども支援の拠点としてのサテライトを作る。そして、その活動をウエブ上のニューズレターに掲載する。時には、HPを通して、協力を求めるなどの会員参加型の学会運営を考えています。
子ども支援に関心を寄せる方々の参加を心からお待ちしております。